福島原子力発電所の事故原因


直接の原因
 直接の原因は地震による停電がきっかけです。この停電によって原子炉圧力容器内に冷却水を送るポンプが作動しなくなり、ディーゼルエンジンによる非常用電源に切り替わりました。しかし、ディーゼルエンジンも作動しなくなり、冷却水が全く送れなくなりました。これが想定外となって炉心を冷やせなくなり、原子炉圧力容器内の水量が蒸発によってどんどん減少しました。
地震発生時に制御棒が自動的に挿入されたため、核分裂の連鎖反応は継続して連鎖反応が生じる「臨界」から核分裂が連鎖しない「臨界未満」となり、いわゆる原子炉の緊急停止状態となりました。しかし燃料棒は、核分裂が終焉した後も、それまでに核分裂を起こした後の分裂片の崩壊熱があり、超高熱状態が長時間継続しています。この燃料棒を冷やす冷却水が不足したため炉心の熱が下降しなくなりました。





圧力を下げるために水蒸気放出・・・放射性物質が漏れる
 冷却水が不足したため、原子炉格納容器内の水蒸気圧力が異常に高くなり、水蒸気爆発の可能性が生じてきました。このため、原子炉格納容器に溜まった高圧水蒸気を外部に放出する処置を講じました。(ベント・・・ガス抜き)これによって圧力は低下しましたが、放出した水蒸気に含まれていた放射性物質が外部に漏れました。

水素爆発
 冷却水量が急激に減少すると、普段は冷却水に完全に浸っているはずである燃料棒が露出され、燃料棒自身が発生させる高熱で融解しはじめました。この燃料棒を覆っている被覆管にはジルコニウムという物質が使用されていますが、融解によってジルコニウムが液体となり、これが少なくなった冷却水に落ちて科学反応をおこして大量の水素を発生させました。また、水蒸気が高熱によって水素と酸素に分解され、それら水素が原子炉圧力容器内から何らかの原因で漏れ、さらには原子炉格納容器からも漏れ(原因はわかりません)、軽い水素は上屋の上部に溜まり、空気中の酸素と化合して水素爆発を起こしたのが上屋の爆発です。この爆発はテレビで再三にわたり放映されましたので大きな衝撃を与えました。
政府は、この爆発によって原子炉に影響を与えることはなかった、と発表しています。



Copyright (C) Shintoku Ikeda. All Rights Reserved